第84章 彼女を娶る

阿部蓮太郎は顔を上げ、目の前に集まった面々をゆっくりと見渡した。

この場にいる阿部家の人間だけで、ゆうに十数人。彼のひと言を聞いた瞬間、驚きがほかの感情を押しのけた者が大半だった。

蓮太郎は歩みを進め、阿部颯太の前で足を止める。細めた目の奥、切れ長の瞳に濃い危険が滲んだ。

「お前か?」

さらに首を傾け、阿部啓太、阿部良太へ視線を滑らせる。

「それとも……お前らか?」

声は低く、軽い。けれど落ちた瞬間、それは巨石のように胸を叩いた。さっきまで背筋を伸ばしていた男たちの背中が、目に見えて萎む。

次いで、口々に首を振った。

「俺じゃない」

「俺たちでもない」

さっきまで颯太に同...

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